vol.24 流 麻二果 × 岡山県立大学津田勢太研究室: 虹の天井 – Rainbow-Colored Celling - 〜 「よつば保育園」&「鹿島区寺内塚合 第二応急仮設住宅内広場」(福島県南相馬市)~
2015.04.30
- 【WS実施日】
- 2015年3月14日(土)15:30〜16:30
- 【成果物設置作業日】
- 2015年3月15日(日)9:00〜15:00
- 【WS参加者】
- 16名(よつば保育園園児)
- 【WS 実施場所】
- よつば保育園( 福島県南相馬市原町区西町 )
- 【設置場所】
- 福島県南相馬市鹿島区寺内塚合 第二応急仮設住宅内広場
- 【WS企画・運営】
- 一時画伯推進委員会
- 【協賛・協力】
- 株式会社 MiRAiZO
- 【WS実施協力】
- 岡山県立大学デザイン学部津田勢太研究室(コラボレーション・パートナー)、よつば保育園
- 【WSスタッフ協力】
- よつば保育園 保育士3名、保護者1名、横山 さくら、石塚 真知子、岩城 和昭、本馬 奈緒、舟越奈都子、鶴田敦子
- 【WS趣旨】
-
2011年、東日本大震災によって被災した地域を訪れた時に感じた「色がない」景色。
そこに色を、虹を子どもたちとかけたいと、宮城大学竹内研究室の「番屋プロジェクト」と「虹の柱」を共催。そのときのWSでは、宮城県の浜市番屋に虹の柱をかけました。
今回は「岡山県立大学津田勢太研究室 茶室移築プロジェクト to 南相馬」のご協力を得て、東京と福島県南相馬市の子どもたちで、南相馬の空に虹をかけます。
東日本大震災から4年目をむかえた3月初旬、羽田空港で開催されたイベント《羽田でつなぐ「東北スマイルプロジェクト」》では、東京の子どもたちからの東北への想いを色にして。
南相馬の子どもたちとは、自分たちの町に新たな色を置いていくように。
- 【手 順】
-
Step.1 「絵の具選びコーナー」
参加者に、好きな色、元気が出る色などを2色イメージしてもらう。
原色のアクリル絵具を用意し、スタッフがその2色を混色して作り出す。
⇒色の仕組みを理解してもらう。
Step.2「虹を描く」
縦300×幅3300mmの壁紙を横長に壁面に貼付しておく。
貼付ける壁面がない場合は、床に置いた状態で塗る。
参加者は好きな場所で、自分の2色を好きな幅に塗る。
移動して複数箇所を塗ってもよい。
他の人の描いた部分に上書きしない。
⇒沢山の色が隣り合ってどのように見えるか鑑賞する。
【天井への設置について】
・ 羽田で制作した6枚の虹と南相馬で制作する3枚の虹、合計9枚の虹を合板に壁紙用のノリで張り合わせる。
・板に張り合わせたらコーティング材を塗り乾かす。
・コーティング材が乾いたら茶室の天井にビスで留め設置する。
- 【担当アーティスト】
- 流 麻二果(ながれ まにか)
アーティスト。一時画伯発起人。1975年生、女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業。若手作家の登竜門である「VOCA 2000」への出品を皮切りに、「文化庁新進芸術家在外研修員(NY滞在)、2004年ポーラ美術振興財団在外研修員(NY・トルコ滞在)などを経て、2006年「VOCA 2006」、「POLA新鋭展」、2008年「損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」2010「DOMANI・明日展2010」等の出展作家に選ばれるなど、着実に躍進を続けている気鋭の作家。現在、油彩作品の発表をベースに、他ジャンルの人たちとのコラボレーション制作やワークショップを行うなど多方面に活躍している。
【REPORT】vol.24 流 麻二果 × 岡山県立大学津田勢太研究室: 虹の天井 – Rainbow-Colored Celling - 〜 「よつば保育園」&「鹿島区寺内塚合 第二応急仮設住宅内広場」(福島県南相馬市)~
2015.04.30
written by 鶴田敦子
3月14日(土)、福島県南相馬市は原町区にある「よつば保育園」にてワークショップを行い、東京と南相馬で出来上がった「虹の天井」を設置してきました!
「羽田でつなぐ《東北スマイルプロジェクト》」から続く、「虹の天井」ワークショップ。今回、羽田空港で出来上がった6枚の「虹」に加え、よつば保育園では3枚の「虹」を作ります。
ワークショップをさせていただいたよつば保育園は、コラボレーション・パートナーである岡山県立大学デザイン学部津田勢太研究室の津田先生からのご紹介。こちらの保育園の子どもたちに虹を描いてもらい、設置もしてきたので、そのレポートです。
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一時画伯チーム5名は、WS開催当日の朝、東京都内から福島県の南相馬市へ車で出発しました。
全線開通して間もない常磐道で福島県に入り、原発事故のあった地域に近づくと、車窓から見える穏やかな田畑の景色の中に、いきなり真っ黒い大量のビニール袋の山が。
太陽がまぶしいくらいに晴れていたこの日。厳しい冬を越え、春を迎えようとしている木々の美しい景色が広がっているように、一見見えます。
なのに、線量計が示す数値はいわき市などともだいぶ異なり、辺りには除染作業中というのぼりが立ち、人影もなく、黒いビニール袋で土地が埋め尽くされていっている目の前の事実。震災・原発事故から4年が経ち、今もこの目に見えない恐ろしさが存在しているということを、頭の中ではわかっていたつもりなのに、認めたくない現実を突きつけられた光景でした。
大人ももちろん、とくに子どもたちには、故郷のこの状況を毎日みながら育って欲しいとはまず思えないけれど、そこが故郷なんだ…、という複雑な気持ちを抱えて南相馬市に入ると、我々が聞き慣れている線量計の数値で落ち着いており、人々の生活を感じる風景で、人の往来も増えてきました。
保育園につくと、保育園の先生たちが暖かく迎え入れて下さり、私たちが準備をしていると少しずつ子どもたちが集まって来ました。
子どもたちはわんぱくで元気いっぱいです!3歳前後のお子さんを中心に、16名も集まってくれました!
初めに、子どもたちには汚れないようにビニール袋を被ってもらい、準備完了!
「絵の具を使うのは今日が初めて!」という子たちばかりで、私たちもテンションがあがります!!
まず本日の担当アーティスト、流 麻二果から、子どもたちにも分かってもらえるように、WSの趣旨や行程を説明します。
そして、色づくり開始!
羽田空港同様、子どもたちに色をリクエストしてもらい、スタッフが色を作ります。
うれしいことに、想定よりも多くの子どもたちが参加してくれ、保育園の先生方や保護者の方にもサポートしていただきながら、子どもたちは初めての絵の具に夢中になって、どんどん大きく伸び伸びと塗っていきます!
《みんなの絵の具初体験!》で出来た「虹」を地元の空に架けられるのは、嬉しいかぎり。子ども達の真剣な表情も忘れられません。
こうして色鮮やかな3枚の「虹」が完成し、無事に1日目が終了!
2日目、3月15日(日):
「虹の天井」を設置する南相馬市鹿島区にある寺内塚合第二応急仮設へ向かいます。
天気は快晴。寒さも思っていた程寒くなく、外で作業するには申し分の無い天気に恵まれました。
この仮設住宅では現在も多くの人々が暮らしています。集会所では、ここで暮らす人々が集まり談笑しながら編み物をしていました。集会所にいらっしゃった皆さんに暖かく迎え入れて頂き、私たちもこちらで壁紙に彩られた「虹」9枚を板に張り合わせる作業から、設置準備スタート!
張り合わせ作業をはじめたとき、宮城大学OBで、一時画伯が東北で活動する際に毎回お世話になっている竹内先生の教えの2人がお手伝いに仙台から到着!
精度もペースも一気に上がり、9枚の壁紙を午前中に張り合わせることが出来ました。
腹ごしらえをしたら、いよいよ天井に設置します!!
津田研究室の皆さんと一緒に、「虹」を天井に設置していきます。
東京(羽田空港)で制作した「虹」も午前の部と午後の部では出来上がった「虹」の様子が違いましたが、南相馬で出来上がった3枚もまた異なる世界観。よつば保育園では、大きな面積を伸び伸び塗る子が多かったので9枚とも全く違う「虹」となりました!
こうして岡山、東京、南相馬をつなぐ「虹の天井」が完成◎
“よつば保育園”の子どもたち、副園長先生を始め、保育園の先生方、並びに保護者の方々、津田先生を始め岡山県立大学のみなさん、「虹の天井」ワークショップに関わってくださった全ての方々に感謝いたします。
みんなの「虹」がかかったこの施設が、こちらの仮設住宅で暮らす方々にとって、楽しい時間や機会を生み出すものとなりますように。
「 私たち一時画伯もまた、来ますよ〜!」の気持ちをこめて、ジャーンプ!